担当している窒素分圧が低いので、押し込んで溜めてくる窒素量も空気に比べて少なく済んでいるのがわかります。結果空気ダイバーと同じプロフィールだとしたら、残留窒素時間にとても余裕が持てるのです!
空気中の酸素濃度を下げればその分窒素濃度は上がる、逆に酸素濃度を上げれば窒素濃度は下がる・・・、まずはこれが基本原理です!
通常ダイビング中に体内に溜まってしまう不活性ガスの窒素は空気中だと79%あるわけですから、1気圧環境である陸上だとこの窒素は0.79気圧分、圧力を担当している事になります。残りの0.21気圧分は当然酸素ですね!もし水深20mに潜ったら、窒素が担当する分圧は3倍の2.37気圧になり、水深40mでは陸上の5倍の3.95気圧という圧力で体内に窒素が押し込まれていく事になるのです。酸素は活性ガスですから体内で"代謝"してしまいますが、窒素は体内に残って溜まり、この窒素の"溜り"が多すぎると減圧症の可能性を高くしてしまいます。この溜まりの度合いはご存知のとおり「時間」と「水深」、すなわち窒素の担当する分圧の力が強ければ強いほど早く限界値に達してしまう事になるのです。でも、最初から呼吸するガスの窒素%が低かったとしたら・・・、%が低いという事は窒素分圧も低いという事なので、最初から一定の限界値まで溜まるまでにかなり時間的余裕が持てることになりますね!ですので通常の空気を使っているダイバーと同じ深度に同じ時間ダイビングしたとしたら、空気ダイバーと比べて遥かに体内に溜め込んでくる窒素の量は少なくて済むことになるのです!
今まで水深30mディープに潜るとき、潜降開始から浮上を開始するまでの減圧不要限界時間はわずか20分間程度しかありませんでした。もし潜降の途中上手く耳が抜けなくて時間を取られたとしたら、実際30mで楽しめる時間はほんの極わずかとなります。しかし、上の図のとおり酸素濃度32%のエンリッチを使った場合、空気に比べ更に10分間もの余裕が持てるのです!特にディープダイビングにおいて、この10分間の差はとても大きい事はお分かりかと思います。また水深20mでは何と空気ダイバーに比べ、プラス30分もの時間的ゆとりが持てるのです。このゆとりの時間を "マージン" と捉えて使うか、"延長時間" として使うのかは受講後のあなた次第です!