ベンチュリーバルブ

画像のようにエグゾーストバルブがめくれてしまっていると当然そこから水が浸入してきます。

まず知っておかなければならないのは「レギュレーター」という単語は「減圧器」という総体的な意味であるということ。
その中で2ndステージというのは「二次減圧」ともいい、要は高圧であるタンク圧を人間が吸える程度までの圧力に落としていく為の過程で、1stステージで約0.9〜1..0Mpaまで落とされた中圧を更にダイバーが潜っているその周囲圧まで減圧する「第二ステップ」、それが2ndステージです。

A低圧シート

【2ndステージの役目と構造】

【ダイバーとしての認識】

例えば、F-1レーサーがなぜあれほど驚異的な速度で更に過酷な条件下で走り続けられるのか? スピードや事故に対して怖くはないのか? なんて考えたことはないですか?
答えはやはり皆な怖いそうです。
しかしそこは驚異的な速度とテクニックでマシンを操るドライバーと、そのマシンを限りなくハイパフォーマンスにそしてドライバーがいつでもどんな時でも安心してドライビングが出来るマシンに常に仕上げているメカニックとの相互信頼関係があるから成し得る技なのです。
ある意味多少なりとも危険性の付きまとうスポーツに携わるのならば確実に安全を確保する努力を自分自身で怠ってはいけません。
レーシングカーが常に最高のパフォーマンスと最高の安全性を確保していられるのは、毎走行後メカニック達がマシンをそしてエンジンをオーバーホールし続けているからなのです。
ダイビングにも同じことが当てはまると思いませんか? 水中という特殊な環境で行われるものだけに安全性を最優先するのならば使用される器材の重要性を決してないがしろにする事は出来ません。
ましてや使用するダイバーが、自分の使う器材の基礎知識もないようでは到底安全性を確保するということは難しくなってくるでしょう。
ダイビングは冒険というものから生まれた水中での楽しみ方のひとつです。
であるから、そこにはある意味「サバイバル」という言葉が隠されていることを自覚しなければなりません。
全てにおいて人任せではご自身の安全は確保できません。
そこでこの特集では、通常皆さんが使用しているダイビング器材について最低限知っていて欲しい基礎知識について解説していきたいと思います。

【考えられるトラブル】

オープンサーキット

クローズドサーキット

1stステージから(@LPホース)内を通り送られてきた中圧のエアーは、(A低圧シート)と(Bオリフィス)が接して閉じていることでまずエアーの流れはここで止まります。
そしてダイバーがマウスピースを咥え呼吸すると吸引力により薄いシリコン素材の(Cダイアフラム)が内側に引っ張られ、ダイアフラムの内側に設置されている(Dデマンドレバー)が押され、根元にスプリングを介して付いている(A低圧シート)が(Bオリフィス)から開こうとします
(A低圧シート)と(Bオリフィス)が離れ開くとその隙間から送られてきたエアーが2ndステージ内に流れ込みます。
強く吸えばその分(Cダイアフラム)が更に引っ張られより大きく(Dデマンドレバー)が押し倒されるので、(A低圧シート)がより大きく(Bオリフィス)から離れ隙間が広がるので、より多くのエアーがダイバーに供給されます。
吸引を止めれば(Dデマンドレバー)の根元についているスプリングのバネ力により(Cダイアフラム)を押し戻しながら元の位置に戻ろうとします。
すると(A低圧シート)は再び(Bオリフィス)にタッチしてエアーの流れが止まります。
その後、ダイバーは2ndステージ内に排気しますので、排気された呼気は一方通行の(Eエグゾーストバルブ)から外に放出され、排気を止めればエグゾーストバルブは水圧で押されて閉じ水の浸入を防ぎます。
これら一連の動作が基本的な2ndステージの役目と構造になります。

このように水中に呼気を放出する一般的なタイプが「開放式」、英語では「オープンサーキット」と呼ばれます。
一方水中に呼気を放出しないで呼気からの酸素を再利用するタイプを「閉鎖式」、英語では「クローズドサーキット」と呼び、その特殊なダイビングユニットを「リブリーザー」と名称し、Closed Circuit Rebreather の頭文字をとり「CCR」とも表記されます。

左の画像がオリフィスです。
右の画像はオリフィスと低圧シードです。

@LPホース


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Cダイアフラム

Bオリフィス

Dデマンドレバー

Cダイアフラム

Eエグゾーストバルブ

水中においてのトラブルで1stステージに起こりうるトラブルは致命的な問題を引き起こす可能性が大きいのに対して、2ndステージの場合構造がそれほど複雑ではないこともありまだ対処しやすいほうだといえます。
しかしやはりそこはノントラブルで楽しいダイビングを終えるにこしたことはありません。
■まず2ndステージに起こりやすい問題点としての代表はやはりフリーフローです。
実は2ndステージ単体としての構造上、フリーフロー自体はさほど深刻な問題ではないといえます。
ですが、それがダイビング中に起こり止らなくなると心理的に二次的なトラブルの要因を引き出しやすいということが問題になります。
また1stステージが原因でのフリーフローはかなり深刻な問題となり水中で簡易的に直すことは不可能なのに対し、2ndステージが問題でのフリーフローは大抵の場合デマンドレバーが倒れきってしまい戻らなくなったときに多く見られます。
このような時は一瞬口からはずして手で強く叩くなどの衝撃を与えれば大抵の場合デマンドレバーは戻ります。
また小さくポコポコ泡が出ているような場合は、通常低圧シートとオリフィスの隙間が使用に応じて若干開いてきてしまったか、水圧により少しダイアフラムが押され敏感なデマンドレバーが押され気味の時によく起こるパターンです。
この場合本人が気になる以外は特にダイビング自体には問題はきたしません。
■他に、呼吸するたびに水が入ってくるような場合が考えられます。
これには沢山のチェック箇所がありますが、以下の場合が多く考えられます。
@マウスピースが切れている。
Aダイアフラムに穴が開いている。
Bエグゾーストバルブがめくれている。もしくは小石などが挟まっている。
Cボディケース自体にヒビが入っている。
Dフェイスカバーが緩んでいる。
E1stステージが水没していて内部に水が溜まっている。
等などです。

※やはり安全と快適性をご自身が確保する為にも定期的なメンテナンスとオーバーホールは受けて頂く事をお勧めいたします。